WordPressの更新前に必要なのは、バックアップを取ることだけではありません。戻し方、今回更新する対象、互換性、更新後に見るページ、作業を止める条件まで決めておきます。これらがそろっていれば、更新後に問題が出ても、どこから確認するかを判断できます。更新を先延ばしにするためではなく、安全に進めるための準備です。
この記事でわかること
この記事では、更新ボタンを押す前に確認する5項目を整理します。
- バックアップを「戻せる状態」にする確認
- 本体・テーマ・プラグインを分けて更新する考え方
- 互換性と動作条件の確認先
- 更新後に見るページの決め方
- 実施時間と中断条件の決め方
1. バックアップと復元方法をセットで確認する
バックアップは、取得済みかどうかより、必要な時に戻せるかが大切です。WordPressサイトはファイルとデータベースで構成されるため、どちらが保存されているかを確認します。
更新前に、次の項目を見ます。
- 取得日時が分かる
- ファイルとデータベースが含まれている
- 保存先へアクセスできる
- 復元を実行する人が決まっている
- 復元手順を確認できる
バックアップ機能に「成功」と出ていても、保存先や復元ボタンの場所が分からなければ、問題が起きた時に使えません。サーバー会社の自動バックアップを使っている場合も、保存期間と復元方法を管理画面や公式資料で確認します。
問い合わせ、注文、予約、会員登録が入るサイトでは、データベースを戻す影響も考えます。更新後に増えた内容を失う可能性があるため、表示崩れだけを理由に丸ごと復元しない判断が必要です。
2. 今回更新する対象を一つずつ記録する
WordPress本体、テーマ、プラグインを同時にまとめて更新すると、問題が出た時に原因を分けにくくなります。今回の更新対象と、更新前のバージョンを一覧にします。
たとえば、次のように分けます。
| 種類 | 名前 | 更新前 | 更新後の候補 |
|---|---|---|---|
| WordPress本体 | WordPress | 現在の版 | 表示された更新版 |
| テーマ | 使用中のテーマ | 現在の版 | 表示された更新版 |
| プラグイン | フォーム機能 | 現在の版 | 表示された更新版 |
最初からすべての更新ボタンを押す必要はありません。サイトへの影響が大きいもの、セキュリティに関わるもの、更新後の確認方法が分かるものから順番を決めます。
更新通知の一覧はスクリーンショットでも残せます。ただし、ライセンス情報や個人情報が写る場合は、外部へ共有する前に隠します。
3. 互換性と動作条件を確認する
更新対象ごとに、現在のWordPress、PHP、テーマ、関連プラグインで使えるかを確認します。確認先は、WordPress.orgのプラグイン・テーマページ、提供元の公式資料、契約中のサーバー会社の案内です。
特に確認したいのは次の組み合わせです。
- WordPress本体と使用中テーマ
- WordPress本体と重要なプラグイン
- プラグインとPHPのバージョン
- フォーム、決済、予約など事業に必要な機能
- 独自に追加したテーマやプラグインのコード
公式資料で対応状況を確認できない場合は、「たぶん動く」と推測して本番更新を進めません。検証環境で試すか、提供元へ確認するか、復元できる担当者と一緒に進めます。
更新前からエラーや表示崩れがある場合も、先に記録します。もともとの問題と、更新後に出た問題を混ぜないためです。
4. 更新後に確認するページを決める
更新が終わってから「何を見ればいいか」を考えると、確認漏れが起きます。事業への影響が大きいページと操作を、先に5つ程度へ絞ります。
優先しやすいのは次の場所です。
- トップページ
- サービスや商品を説明するページ
- お問い合わせフォーム
- メニューや固定ボタン
- スマートフォン表示
予約や決済があるサイトなら、その操作を優先します。ブログ一覧の細かな余白より、問い合わせや購入を妨げる問題を先に見つけるためです。
確認するブラウザと端末も決めます。パソコンだけでなく、普段の閲覧が多いスマートフォンでも開きます。問い合わせフォームは表示だけでなく、テスト送信から受信まで確認します。
WordPress本体の更新後に見る場所は、自動更新されたか確認する方法でも、バージョン・主要ページ・フォームの3点に分けています。
5. 作業時間と中断条件を決める
更新は、問題が起きた時に確認を続けられる時間へ行います。担当者が席を離れる直前や、問い合わせが集中する時間を避け、更新後の表示確認までを一つの作業として確保します。
同時に、作業を止める条件を決めます。
- 更新処理が終わらない
- メンテナンス中の表示から戻らない
- 管理画面へ入れなくなった
- サイトが真っ白になった
- 主要ページ、フォーム、予約、決済が動かない
- バックアップから戻す判断ができない
中断条件に当てはまったら、再更新やプラグイン停止を重ねません。発生時刻、表示されたエラー、直前に更新した対象を記録します。
更新後に表示が崩れた場合は、最初に戻すもの・触らないもので、キャッシュ、更新対象、リカバリーモードを順に確認できます。
更新前チェックを一枚にまとめる
更新のたびに迷わないよう、次の項目を作業メモとして残します。
[ ] ファイルとデータベースのバックアップがある
[ ] 保存先と復元担当が分かる
[ ] 更新対象と現在のバージョンを記録した
[ ] 公式資料で互換性と動作条件を確認した
[ ] 更新後に見るページと操作を決めた
[ ] パソコンとスマートフォンで確認する
[ ] 作業時間と中断条件を決めた
毎回同じ形式で残せば、更新後に問題が出た時も、前回との違いを確認できます。長い報告書にする必要はなく、日付と担当者、対象、確認結果が分かれば十分です。
自分で進められる範囲と、相談したい条件
バックアップ日時、更新対象、現在のバージョン、確認ページを書き出すところまでは、設定を変えずに進められます。復元方法と互換性まで確認でき、更新後のテストも自分で行えるなら、決めた順番で更新できます。
次の状態なら、更新ボタンを押す前に相談する範囲です。
- バックアップの保存先や復元方法が分からない
- 独自テーマや古いプラグインを使っている
- 公式資料で対応状況を確認できない
- フォーム、予約、決済など停止できない機能がある
- すでにエラーや表示崩れが起きている
- 問題が起きた時に戻せる担当者がいない
更新を止めたままにするのではなく、安全に進めるための準備を補う相談です。緊急の即時復旧が必要なら、現在契約している保守先やサーバー会社も候補に入れます。
おわりに
WordPress更新前は、バックアップに加えて、復元方法、更新対象、互換性、確認ページ、作業時間と中断条件を決めます。更新後の点検まで先に組み立てておけば、問題が出ても変更を重ねずに状況を分けられます。
復元方法や互換性を確認できない、自分たちだけで更新するのが不安。そんな段階からでも、事前の整理をお手伝いできます。



