AIで引き継ぎマニュアルの更新漏れを探す|元資料と現行手順を比べる3項目

古いマニュアルと現在の操作が合わない時は、AIに完成版を書かせる前に差分を探します。比べるのは、画面名、必要な権限、操作手順の3項目です。矛盾、不足、要確認へ分ければ、担当者へ聞く内容と直す場所が見えてきます。

ここで扱うのは、架空の資料から更新漏れの候補を一覧にする方法です。完成版を書くのは、そのあとです。

この記事でわかること

  • 比較前にそろえる2つの資料
  • 画面名・権限・手順を比べる方法
  • 差分を矛盾・不足・要確認へ分ける基準
  • 差分が多いときに先に直す箇所
  • 人が確かめてマニュアルを更新する順番

旧マニュアルと現行メモを分けて用意する

AIへ渡す前に、古いマニュアルと現在の操作メモを別々にします。どちらの記述か分からない状態では、差分を追えません。

用意するのは次の2つです。

  1. 旧マニュアル: 引き継ぎ時にもらった資料
  2. 現行メモ: 今の画面で確かめた操作と条件

現行メモには、実際に画面で確かめた事実だけを書きます。「おそらく管理者だけ」といった推測は本文へ混ぜず、要確認の項目として分けておきます。

画面を確認できない、権限がない、変更すると元へ戻せない。そんな項目は、操作を進めず確認先だけ残します。

実資料を使う前に入力範囲を決める

マニュアルに、管理画面のURL、担当者名、認証情報が残る例も珍しくありません。比較に不要な情報は削除するか、架空の値へ置き換えます。

比較に使わない情報は、入力前に外します。

  • ID、パスワード、APIキー
  • 顧客名や担当者の連絡先
  • 社内だけで使う管理URL
  • 契約内容や未公開情報
  • 復旧に必要な秘密情報

利用するAIサービスのデータ取扱いと社内ルールも確認します。判断できない実資料は使いません。短いダミー資料で、比較方法だけを試します。

ChatGPTで扱う情報の整理は、保存する情報と分ける情報をまとめた記事です。実資料へ進む前の確認に使えます。

画面名・権限・操作手順の3項目を比べる

比較する項目を3つへ絞ると、AIの出力を人が追いやすくなります。文章全体を書き直してもらうと、どこが元資料の記述で、どこが変わった部分なのかを見分けられなくなるためです。

比較項目見る内容差があった時の確認先
画面名メニュー名、ボタン名、移動先現在の管理画面
必要な権限操作できる役割、承認の有無管理者、運用責任者
操作手順順番、入力項目、完了条件実際の操作と担当者

画面名だけが変わり、操作の意味は同じ場合もあります。名前が変わっただけなのか、手順そのものが変わったのかは、差分表でも別の行へ分けておきます。

権限は推測で埋めず、現在のアカウントで見えない画面があっても「権限が必要」とは断定しません。

文章のまま比べると、説明の丁寧さや長さの違いに目が行ってしまうため、旧資料と現行メモを同じ形へそろえてから差を見ます。

画面名 / 実行する人 / 操作 / 完了の目印

「設定画面で保存する」と「管理者が設定を開き、公開済みを確認する」では、粒度が違います。同じ項目へ分けると、足りない権限情報と完了条件が見えてきます。

AIへ差分表だけを作らせる

AIへは、旧資料と現行メモのどちらを使ったか分かる形で渡し、差分と根拠を一つの表に並べます。

旧マニュアルと現行メモを比べ、差分だけを表にしてください。

列:
比較項目 / 旧マニュアル / 現行メモ / 状態 / 確認事項

比較項目:
- 画面名
- 必要な権限
- 操作手順

状態:
- 矛盾
- 不足
- 要確認

ルール:
- 2つの資料にない内容は補わない
- 正しい手順を推測しない
- 判断できない箇所は「要確認」とする

AIへ新しい文章を書かせるのは、差分を人が確定したあとです。先に完成版を作ると、どの記述が元資料にあったのか分からなくなります。

差分を矛盾・不足・要確認へ分ける

差分表は矛盾、不足、要確認の3つへ分け、修正対象と調査対象を混ぜないようにします。

矛盾

旧資料と現行メモに、異なる内容が書かれている状態です。たとえば、保存ボタンの位置が移動していたり、承認を取る順番が入れ替わっていたりする場合が当てはまります。

どちらが正しいかは、現在の画面や担当者が確かめ、AIには決めさせません。

不足

片方にしか説明がない状態です。現行メモに完了条件があり、旧資料にはない、という場合が当てはまります。

不足した記述が本当に必要かは、人が判断します。気づいた違いをすべて書き足していくと、マニュアルそのものが読み通せない長さになるためです。

要確認

資料だけでは正誤を判断できない状態です。必要な権限、承認する人、例外が起きた時の手順は、資料を読み比べても確定しないため担当者へ確かめます。

要確認を空欄に戻さず、確認先と期限を決めて、未解決だと分かる形にします。

たとえば、旧資料に「編集者が公開する」、現行メモに「公開ボタンは見えない」とある場合です。「管理者権限が必要」とはまだ断定できません。

差分表には「公開できる役割を管理者へ確認」と残します。すでに確認できた事実と、これから聞きに行く内容を、同じ表の中で混ぜないためです。

全部を直そうとせず、順番を決める

差分表は、想像より長くなります。引き継いだ資料が数年分たまっていれば、数十行の差分が出ることも珍しくありません。一度に全部を直そうとすると、途中で止まって古いマニュアルがそのまま残ります。

先に直すのは、間違えると業務が止まる箇所です。ログインできない、公開できない、承認が通らない。この3つに関わる差分から着手します。

表記のゆれ、画面名の細かい違い、説明の順番は、後回しで構いません。読む人が作業を完了できるかどうかが、優先順位の基準になります。

人が確定してからマニュアルを更新する

差分表ができたら、現行手順を知る人が内容を確定します。AIの比較結果だけを根拠に、運用中のマニュアルを上書きすることはしません。

更新の順番は次のとおりです。

  1. 差分表を元資料と照合する
  2. 矛盾と要確認の担当者を決める
  3. 現在の画面と手順を確かめる
  4. 確定した差分だけを反映する
  5. 更新日と変更理由を残す

変更履歴は次回の引き継ぎでも使うため、Webサイトの更新記録と同じく、変更理由まで残します。

更新が終わったら、その業務を初めて触る人がマニュアルだけを見て、最後の完了条件までたどり着けるかを確かめます。書いた担当者ではなく、引き継ぐ側が再現できるかが完成の基準です。

FAQとマニュアルで同じ説明を使う場合は、元資料から社内FAQを作る方法も確認できます。各資料へ反映する前に、正しい情報源を一つ決めます。

おわりに

マニュアルの更新漏れは、画面名、必要な権限、操作手順の3項目で比べます。AIには差分表だけを作らせ、矛盾、不足、要確認へ分類すること。正しい手順は、現在の画面と担当者が確定します。

ダミー資料で比較表を試すところまでは、自社でも進められます。差分は出せても、現在の正しい手順や確認先を決めきれない。そんな場合は、認証情報を含む実資料を入力する前にお力になれるかもしれませんので、お気軽にご相談ください。

AI活用・業務改善相談を見る

SNS SHARE

はてなブックマークでシェアXでシェアLINEでシェアPocketでシェア